金属ってそもそもどんなもの?合金って?
~金属概論 超初歩~
てつお「教えてほしい事があるんだけど…」
てつこ「鉄と鋼と合金と金属の違い?」
てつお「黒田くんから聞かれたんだけど、答えられなくて…」
てつこ「そういう事ね。分かったわ。まずは、一番大きなくくりで、金属から説明するわね」
てつお「よろしくお願いします!」
てつこ「中学や高校で習ったと思うんだけど…。金属には」
てつこ「①金属光沢をもつ ②導電性・熱伝導性がある ③固体状態で展延性に富む という性質があるわ」
てつお「ふむふむ…。ぴかぴかで、電気や熱を通して、力を加えるとぺたんこに広がったり、細長くなったりするって事だね。」
てつこ「そうね!それから、室温では、水銀を除いて全て固体という特徴もあるわ」
てつお「確かに日常生活で、溶けた金属は見たことないかも」
てつお「でも室温って具体的にどれくらい?」
てつこ「う~ん…それが、規定がいろいろあるんだけど」
てつこ「室温≒常温とすると、標準的な温度として 15~25℃を指しているみたいよ」
てつお「確かに、それくらいの気温で液体になってる金属って、見たこと無いかも!」
てつこ「ただ、セシウムは約28 ℃で液体になるわよ!」
てつお「室温・常温でっていうのは、僕がエアコンを入れなくても耐えられる気温でって事だね」
てつこ「そんなイメージね」
てつこ「脱線したけど、金属がどんなものを指すかはわかってもらえたかな?」
てつお「わかったよ!」
てつこ「じゃあ、次は合金なんだけど、これを説明する前に純金属を説明する必要があるわね」
てつお「純金?」
てつこ「違うんだけど、正しくもあるわね…」
てつお「…?」
てつこ「純金じゃなくて、”純金属”ね。金・銀・銅・アルミ・鉄なんかの単一の金属元素から出来ている金属の事よ」
てつお「元素って…どんなだっけ???」
てつこ「元素っていうのは、物質を構成する基本単位のことね」
てつお「ふむふむ」
てつこ「その中でも金属の性質を持った元素のグループを、金属元素っていうの」
てつお「ふーむ…」
てつこ「ちょっと周期表を見てみましょうか」
てつお「周期表!懐かしい!」
てつこ「グレーで色を付けてあるものが金属元素よ」
てつお「当たり前だけど、金・銀・銅・アルミ・鉄…見知った名前がちゃんと載ってるね!」
てつこ「そうね。ここに載っているような金属元素そのもので出来ている※金属が、純金属と呼ばれるの」
※鉱石から精製する為、不純物を全て取り除く事は難しく、100%単一の元素で出来た金属は存在しない(2021.12.8時点)
てつこ「ところで、さっきの純金の話になるんだけど、純金っていうのは他のものの混ざっていない金の頃を指しているわ。つまり…?」
てつお「純金属だね!」
てつこ「そう!ただ、金っていうのは金属の中でも、硬度が低くて柔らかいの」
てつこ「だから、アクセサリーとして日常的に使うには、すぐにキズが付いたり型崩れしちゃうわけ」
てつお「せっかく大枚はたいて買った金のアクセサリーが、すぐボロボロになっちゃうのは困るよ!!」
てつこ「そこで、銀・銅・亜鉛・パラジウムなんかの他の金属を混ぜて、強度を上げて、日常使用にも耐えられるようにするの」
てつお「ふむふむ」
てつこ「そうやって、混ぜ物をした金属が、合金って呼ばれているわ」
てつお「なるほどー!!!」
てつこ「そうね!」
てつこ「それじゃあ、質問の中にあった鉄だけど、これは何になるかな?」
てつお「これも、純金属だね!」
てつこ「正解!と言いたいところだけど、実は少し違うのよ」
てつお「えっ?」
てつこ「純金属としての鉄を、純鉄※と呼ぶんだけど、一般的に"鉄"と言われる材料は、純鉄の事では無いの」
※工業的に、純度が99.90~99.95%程度、炭素含有率が0.02%程度までの不純物元素が少ない鉄を指す
てつお「違うの…?」
てつこ「純鉄は、限られた用途にしか使われなくて、広く使用されている”鉄”っていうのは・・・」
てつこ「実は鋼の事なの!」
てつお「 ナ、ナンダッテー?! 」
てつこ「という事で、鋼が何かっていう説明をしていくわね」
てつお「・・・・・」
てつこ「鋼っていうのは鉄と、2%以下の炭素でできた合金の事なの。」
てつお「一般的に鉄は純鉄ではなく鋼…。鋼は鉄と炭素でできた合金…。」
てつお「小坂鉄工所は、小坂鋼工所ってこと・・・?」
てつこ「取り扱いが多いのが、アルミと特殊鋼だから、どちらかというと金属加工所かしら…」
てつこ「でも、世界中で使われている金属材料のうち、95%が鉄鋼※で、鉄鋼っていうのが鋼を意味している事がほとんどで…っていくと」
※補足説明にて解説
てつこ「鋼の事を指している事が多い言葉が鉄だから、やっぱり鉄工所ね!」
てつお「鉄工所ではないけど、鉄工所でもある…?言葉の定義って難しい」
てつこ「では、そろそろ本題に戻って、鉄と鋼と合金と金属の違いについて、まとめてみましょう」
てつお「はーい!」
てつお「まず、金属っていうのが、金属光沢をもっていて、導電性・熱伝導性があって、展延性に富んだ物質のことだね」
てつお「金属の中でも、純金属と合金に分かれて、純金属は単一の元素(に近い状態)の金属で、合金は混ぜ物をした金属のことだった!」
てつこ「うんうん」
てつお「鋼は鉄と2%以下の炭素から成る合金の事で、鉄は純金属と思いきや、よく目にする"鉄"と呼ばれるものは実は鋼だった!」
てつこ「その通りよ!」
てつお「ありがとう!これで黒田くんに説明ができるよ!」
※本ページの内容は2021.12.8時点での調査結果を元に執筆されたものです。
●●けんさくの補足説明●●

けんさく
てつこさんの話にちらっと出てきた「鉄鋼」ですが、これは鉄を主成分とする材料の総称を指しますぞ。一般的にはてつこさんの言う通り、鋼を意味している事がほとんどですが、工業的には、純鉄、鋼、銑鉄、鋳鉄、フェロアロイ(合金鉄)を鉄鋼と呼ぶことが多いですぞ。銑鉄というのは鉄鉱石を還元して取り出した鉄の事で、不純物をたくさん含んでいますぞ。フェロアロイ(合金鉄)は、主に鉄を主成分とする合金を製造する際に、鉄以外の元素を添加する為に使用する、添加したい元素と鉄の合金の事ですぞ。
ちなみに世界中で使われている金属材料のうち重量で 95%が鉄鋼で、材料による文明の歴史区分では、現在もまた鉄器時代であるとされていますぞ。
小坂鉄工所で取り扱いの多い、SUSなんかもステンレス鋼なので鉄鋼の一種ですな。小坂鉄工所では、鉄鋼以外にも様々な合金材料を扱っておりますぞ。
ちなみに世界中で使われている金属材料のうち重量で 95%が鉄鋼で、材料による文明の歴史区分では、現在もまた鉄器時代であるとされていますぞ。
小坂鉄工所で取り扱いの多い、SUSなんかもステンレス鋼なので鉄鋼の一種ですな。小坂鉄工所では、鉄鋼以外にも様々な合金材料を扱っておりますぞ。
参考にさせて頂いたホームページ
参考にさせて頂いた文献
・鉄鋼、室温、常温 「ブリタニカ国際大百科事典 電子辞書対応小項目版@2009 」
・金属、合金、Fe、鋼、セシウム「岩波 理化学辞典 第5版」