ステンレスってどんな金属?
~SUSナントカ、ナントカPHって?~
てつお「というわけで…」
てつこ「SUSやPHについて聞きに来たってことね」
てつお「お恥ずかしながら…」
てつこ「じゃあ、SUSから説明するけど…まずステンレスっていうのは何の事だったかな?」
てつこ「そうね。そしてその”ステンレス”の中でも成分の違いによって種類が分かれてくるの」
てつお「成分によって種類が分かれる特殊鋼のうちのステンレスの中でも成分によって種類が分かれる…」
てつこ「本の中でも小説や漫画、参考書みたいに種類が分かれるでしょ?けど、漫画の中でも少年漫画や少女漫画なんかに分かれるじゃない」
てつお「なるほど!」
てつこ「そして"少年漫画"の中でも〇ャンプやサ〇デー、マガ〇ンみたいに雑誌が分かれるわよね」
てつお「うんうん」
てつこ「その、〇ャンプやサ〇デー、マガ〇ンがSUSにあたるようなイメージよ」
てつお「なんとなくイメージできたよ!」
てつこ「さて、本題に入るんだけど、SUSっていうのはJIS規格で決められたステンレス鋼材の材料記号で、"Steel Special Use Stainless"から取られているわ」
てつお「ふむふむ。SUSの後によく数字三桁がついているのを見かけるけど、あれは何?」
てつこ「あの数字は含まれる化学成分を表しているわ。SUSの後に続く英数字で、含まれる化学成分の許容範囲が決まっているのよ」
てつお「なるほどね!」
てつお「ところで、JIS規格って何?」
てつこ「・・・」
てつこ「日本産業規格の事よ。これは日本の産業製品に関する標準や測定法を定めた日本の国家規格なの」
てつお「標準?規格?」
てつこ「コンセントが分かりやすいわね。どのメーカーのどの製品を買っても全て同じ形をしていて、どの家庭や職場でも使う事ができるわよね」
てつお「おお~!確かに!」
てつこ「これが、メーカーによってコンセントやプラグのサイズがバラバラだと、買う人は何を買えばいいか分からないし、買ったものが使えなかったりして困ってしまうわ」
てつこ「それからJIS規格には品質の確保、安全性の確保といった面もあるわね。つまりJIS規格っていうのは互換性と品質と安全を保証する為のものなの」
てつお「なるほど!僕たちが変なものをつかまされずに済むって事だね!」
てつこ「そういうこと!それで、こういった規格は日本以外にもいろいろあるのだけれど」
てつこ「これらは全て、一般的なステンレスであるSUS304に相当する成分になるわ」

てつお「これが全部SUS304と同じってこと?!」
てつこ「そうよ。相当品だから、それぞれの規格によって許容される含有量に多少の差はあるけれど、ほぼ同じものよ」
てつこ「この例えが必ずしも正しいとは思っていないけれど、少年漫画を買ってきてって漠然と言われた時に〇ャンプ、サ〇デー、マガ〇ンのどれを買ってきても良いようなイメージね」
てつお「なるほど!必ずしも正しくないけれどね!」
てつお「ところで、どんなステンレスでも相当品があるの?」
てつこ「それが、そういうわけではないの」
てつこ「SUS304は成分的に幅広く使用できる材料だから各規格にも相当品や同一品があるだけで、一部の規格でしか存在しない成分もあるわ」
てつお「マニアックな本になってくると出版する会社も少なくなるって事か」

てつお (月刊ビーバーもビバ書房からしか出てないもんなあ)
てつお「PHも〇ャンプ、サ〇デー、マガ〇ンと同じようなくくりなの?」
てつこ「それが、そこは同じようにまとめる事はできないの」
てつこ「じゃあ、PHについて説明していくわね」
てつお「よろしくお願いします!」
てつこ「PHっていうのは析出硬化(Precipitation Hardening)の略の事で、前についている数字は組成を表しているわ」

てつお「ソセイ・・・?」
てつこ「組成っていうのは、その合金に含まれている各成分の種類と比率の事ね。PHの表記だと、具体的にはCr%-Ni%を表しているの」
てつお「じゃあ、小坂の中でよく見かける15-5PHはクロム15%でニッケル5%ってことだね!」
てつこ「そうなるわね!」
てつお「それだけ聞くと、SUSみたいな感じっぽく聞こえるけど、PHは〇ャンプ、サ〇デー、マガ〇ンのくくりじゃないって言ってたよね?」
てつこ「そうなの。PHは、その一つ前の、少年漫画とか少女漫画とかのくくりになるわ」
てつこ「ただ、少年漫画や少女漫画に比べると、動物漫画雑誌とかの少しニッチな需要のジャンルになるわね」
てつお「月刊ビーバーみたいな感じだね」
てつこ「それは更に狭い需要になりそうだけど…」
てつこ「ステンレスにはメジャーな3ジャンルとそれ以外の+αがあるの」
てつお「ふむふむ」
てつこ「その+αのうちの1つがPHシリーズになるわ」
てつお「なるほど!ってことは、PHシリーズの中でもSUSとか各規格が存在するって事だよね?」
てつこ「その通りよ。これらが17-4PHに相当するものになるわ。」

てつこ「ただ、小坂で多く取り扱っている15-5PHについては、JISでの相当品がないの」

てつお「さっき、必ずしも相当品があるわけじゃないって言ってたもんね。確かにJISでの規格があるならSUSなんとかって呼び方になるわけだから、そうじゃない時点で…って感じだね」
てつこ「それでも大体判別できるわね」
てつお「ところでメジャーな3ジャンルって言ってたけど、それは何なの?」
てつこ「これに関しては、専門的な話になってくるので大まかな名称のみ説明しておくわね」
てつこ「ステンレスの中でもメジャーな3種類としてオーステナイト系、マルテンサイト系、フェライト系があるわ」
てつこ「これらは性質が若干違っていて、金属原子の並びなんかで分けられていているわ」
てつお「ふむふむ。その3種類+αで析出硬化系のPHシリーズがあるわけだね!」
てつこ「そうね。それから+αの中には2種類の状態を持つ”二相系”っていうのもあるわ」
てつお「ざっくり5種類!」
てつこ「・・・と、まあこんな感じかしら?少し散らかってしまったから、内容をじっくりまとめて欲しいわね」
てつお「わかったよ!」

てつお (考え中)
てつお「今回のまとめに入るよ!」
てつお「錆びにくい鋼であるステンレス鋼はメジャーな3種類+マイナー2種類にわかれていて、メジャーなのはオーステナイト系、マルテンサイト系、フェライト系、マイナーなのは析出硬化系、二相系と呼ばれているよ。そしてそのうちの析出硬化系のことをPHと呼ぶよ。SUSっていうのはJIS規格におけるステンレス鋼の呼び方で、これはメジャーなジャンルでもマイナーなジャンルでも相当する成分のものがあればこの表記がされるけど、中には15-5PHのようにJIS規格がなく、SUSでは表記できないものもあるよ」
てつこ「ばっちり理解できてるわね!」
てつお「やったー!!!」
※本ページの内容は2022.12.8時点での調査結果を元に執筆されたものです。
●●けんさくの補足説明●●

けんさく
てつこさんの話にあったSUSの後に続く数字ですが、
オーステナイト系には300番台、マルテンサイト系とフェライト系には400番台が振られておりますぞ。最近はオーステナイト系の中でもCrの代わりにMnを使用しているものについては200番台が振られるようになっているらしいですぞ。
析出硬化系には600番台が振られておりますな。
小坂鉄工所で削っているステンレスのうち主なものはオーステナイト系と析出硬化系になりますぞ。
どんな金属でどんなものを作っているかは、こちらを参考にして欲しいですぞ~!
どんな金属でどんなものを作っているかは、こちらを参考にして欲しいですぞ~!
参考にさせて頂いたホームページ
参考にさせて頂いた文献
高遠 達也. ポケット図解「鉄」の科学がよ~くわかる本. 株式会社 秀和システム. 2009年06月20日.ISBN:978-4-7980-2293-2
飯久保 知人. 図解入門 よくわかる ステンレスの基本と仕組み. 株式会社 秀和システム. 2010年08月06日.ISBN:978-4-7980-2696-1
野原 清彦. 技術大全シリーズ ステンレス鋼大全. 日刊工業新聞社. 2016年04月19日.ISBM:978-4-526-07541-4